創り手の気持ち

先週末、金沢市の方から和モダンVol.7を見て、ぜひお伺いしたい旨のお電話がありました。
  

お話を聞いてますと、いい家を建てたいという熱意は十分伝わってくるのですが、あまりいい結果は得られない気がします。
お話の中で、印象に残っていることは・・・
今の状況は、地場の工務店の営業の方の取次で、その会社の設計士の方が要望を聞いて、1週間ぐらいで73坪の平屋の家を提案しているお話。
  

提案されている平屋だと見栄えが良くないので、少し高くして小屋裏を吹き抜けにして・・・とか他にも色々なお話がありましたが、その中で僕が問題と感じた一つ目は、その設計士の造った家に対するお客様の関心度が低い点です。
  

二つ目は、1週間でのプランの提案。それはまるで大手メーカーの販売方法で、けして物づくりではないと思います。
  

三つ目は、お客様の要望の枠を超えて設計士になっている点。その会社、その設計の家に住みたい・・・と思う。
そこが一番肝心だと考えます。自分の住みたい家に出会って、その枠の中での要望を出さなければ自分が設計のリーダー的存在になってしまいますと、自分のレベルの家になってしまいます。意識のある設計者であれば当然やる気はなくなってしまうでしょう。
  

お断りするか商売に徹して、取りあえず描くか・・・ それで満足する方も・・・
  

四つ目は住まいに対する考え方。40分前後の電話での話なのでわかりませんが、3人家族で73坪の平屋、理解しがたい。
お話を聞いて、失礼と思いながらも僕の事なのでお話をしてしまいました。
  

今の状況で、金沢からわざわざ岡山まで見に来られる必要はないと思いますし、また、今の家づくりの進め方だと、思われているお家を得ることはなかなか困難ですし、創る過程もあまり楽しめないと思いますと。
  

お会いしてお話をしていないので、十分な理解は出来ておりませんが、物づくりをやっている者の正直な気持ちですとお伝えしました。
  

電話でのお話が終えて思ったことは、近くにお住まいでもうちとのご縁はないかなと思いました。
  
お客様とのご縁は本当に難しいです。
先日来社されたお客様が、“家づくり、結婚と一緒ですね”と言われました。
(その時のお話のなかでは違う意味で言われたのですが!)

 

竹田 成太